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涙で滲むような跡と共に、走り書きでそう記されていた。
これ……九の恋文?
歯が浮くような甘い言葉の数々と、見覚えのある筆跡から見て九が書いたものであることは間違いないだろう。
【最愛なる聡美】
九の恋人の名前だろうか?
でも、聡美ってどこかで聞いたことがあるような――――。
ドンッ――!!
「八七!!会いたかったわ!!!!」
いきなり背中に衝撃が走ったと感じた瞬間、ぎゅうっと首元がきつく締め付けられる。
「ぐっ……苦し――。いきなり背後から抱きつくなって、いつも言っているだろう?朱華(シュカ)」
俺は、机の前に倒れこみそうになりながら、その首に絡まった両腕を解くと、背後にいる人物を瞬時に把握し、苦悶の表情で振り向いた。
そこには――。
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