LAST FILE【BLACK JOKER殺人事件1】

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 顎に手をかけ思考を巡らせていた時  ピンポーン――  という馴染みのあるチャイム音と共に 「ちわーっす。速達です。受け取りの印鑑いただけますか?」  若い男性の明るい声が玄関の方から聞こえてきた。  俺はソファから立ち上がり、持ち歩いている茶皮のハンドバッグの中から印鑑を取り出し 「はい、ありがとうございます」  と鉄扉を開いて、柔和な笑みを浮かべている精悍な郵便配達員の、手元にある速達荷に印鑑をポンと押した。  郵便配達員が一礼して帰っていくのを見届け、受け取った荷物に視線を落とす。 「……何だろう、これ?ビデオテープ??」  がさがさっ……  と包装紙を破ると中から現われたのは、一本の深紅のビデオテープと、同色の一通の手紙だった。  朱華が、その手紙の裏を見て驚愕した表情で震える声で呟く。 「…………こ、これBLACK JOKERからの手紙よ」
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