LAST FILE【BLACK JOKER殺人事件1】

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 中央に狐のシルエットが描かれた深紅のカードが一枚同封され、黒文字でそう書かれていた。 「朱狐だ……」  怪盗・朱狐。  それは十年程前、世間を騒がせていた泥棒の名だ。  九十九は諦めることなく、今でも朱狐の行方を追い続けているらしいが、未だにその正体は分かっていない。  最近では、全く姿を現さなくなったと聞いていたけれど……。 「もしかして――朱狐とBLACK JOKERは同一人物なのか?」  七年前、黒稲荷村で起こった連続殺人事件。  あの時、九の依頼人の元に届いた朱狐の予告状と、これはあまりにも酷似している。  あの事件の証拠品は、今も警察が厳重に管理していて警察内部と、事件の関係者である俺たちしか知らなかったはず…………。  それなのに、この文面は間違いなく怪盗・朱狐の予告状そのものだ。  偶然の一致とは思えない。  しばらく穴が開くほど、その文面を確認しながら、ビデオテープのことを、はっと思い出し 「朱華、これ再生してくれるか?」  朱華に深紅のビデオテープを手渡した。  頷いた朱華がビデオをデッキに入れ、再生ボタンを押す。  すると――――。
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