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鼓膜を通り抜け、脳に直接呼び掛けるかのような不気味な音色。
それは、一度聞いたら忘れることなどできない、あの【かごめ唄】だった。
そのBGMに耳を傾けながら
「鶴八七君……私が誰か分かるかな?」
ギイッと、回転式のレザーチェアーが独特な鉄の摩擦音を奏でつつ、ゆっくりと回転する。
後ろから正面を向いた、その姿は
「朱狐……」
赤と白のコントラストが鮮やかな、狐の面を被った人物だった。
周囲には明かりがないのか薄暗く、変声機で声も変えている為、男女の区別がつかない。
背格好や口調、仕草などから見て男性のようだけど……。
漆黒のディスクの上には、赤い狐と緑の狸のミニチュアの置物があり、トランプのJOKERのカードだけが何十枚も散乱している。
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