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「クックックッ……手紙は読んでくれたかな?私の正体が分からなければ、君の大切な人たちが次々と死ぬだろう。そう彼のような、ね…………」
ザザザッ――
というテレビのブラウン管から流れる砂嵐のような音に混じり、高音の機械声がゆっくりと告げる。
ギイッと、再びレザーチェアーが回転し、その狐の面を被った人物の背後の景色が映し出された。
「そ、そんな――――」
俺と朱華は、信じられない光景を目の当たりにする。
そこには、天窓から差し込む朧月夜の薄明かりに映える深紅の髪。
頬は痩せこけ、口元に無精髭も生えているが、精悍で整った顔立ち。
手足を縄で縛られ、全身痣だらけのみすぼらしい男性がいた。
どれだけ、風貌が変わろうと忘れることなどできない人物――。
「い、九先生――!!!!」
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