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「彼のことを覚えているだろう?九紅は、今毒に身体を侵されている。青酸カリウムやアトロキニーネのように速効性の猛毒ではなく……じわじわと効いていく遅効性の毒だ。すぐには死なないが、いずれ死ぬだろう。私の持つ解毒薬を使わないと助からない。鶴八七君、九紅を助けたければ私を探すしか方法はない。君に私についてのヒントを三つだけあげよう。一つ目【君は私のことを知っているが、私のことは知らない】」
狐の面を被った人物は、九に冷ややかな視線を向け、愉快そうに笑みを零しつつ人差し指をピンと立て、一つと数を表している。
君は私のことを知っているが、私のことは知らない?
どういう意味だろうか?
相手のことを知っているのに、知らないなんて……明らかに言葉として矛盾している。
全く意味が理解できない。
眉をひそめ思考を巡らせている俺のことなど、お構いなしという様子で更に話は続いていく。
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