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瞳を閉じれば思い出す。
深遠なる闇の彼方で、ぼぅっと輝く光の中、いつものようにあの人の微笑む姿が見える。
一年ぐらいしか共に過ごしていないけれど、今でも色褪せることのない大事な懐かしい記憶の数々を――。
「あれから……もう七年も立つんですね」
ここは、今も昔も変わらない。
大勢の人が行き交う大通りの隅にある企業密集マンションの二階。
表の漆黒の鉄扉の前には【鶴探偵事務所】と白文字で書かれた小さな看板が立てられている
ここが、今日から俺の職場になる場所。
新米の私立探偵――鶴八七(ツルヤヒチ)の始まりの場所だ。
七年前、俺の人生は大きな転機を迎えた。
ある一人の男性。
探偵で英語教師でもある九紅(イチジククレナイ)との出会いによって…………。
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