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籠女様殺人事件。
黒稲荷村殺人事件。
数々の難事件を、鮮やかな手法と類い稀なる洞察力で、解決へと導いてきた九。
俺は九の助手として、それを一番近くで見てきた。
最初は仕方なく助手になったはずなのに……いつしかそんな九に、自分でも知らぬ間に惹かれていく。
しかし――あの事件でBLACK JOKERと名乗る真犯人の手によって、無実の罪を着せられ指名手配犯となった九は、俺に全てを託して最後は自殺を図った。
警察の捜索も打ち切られ、遺体は発見されないまま……七年の月日が流れた。
死んでいるのか、それとも生きているのか――――。
容疑は完全に晴れたのに、九の行方は未だに分からない。
「……いったい、今どこにいるんですか?」
カチャッ――。
黄金色に輝く細部にまで華美な装飾の施された派手な机。
今は主人のいないその机に腰かけ、飾られた写真立てを手に取る。
そこには、色とりどりの花に囲まれて幸せそうに笑う九の姿が映っていた。
懐かしい写真を見て、思わず笑みが零れる。
しばらく眺めていた、その時――。
「あれ?これ……もう一枚後ろに写真がある」
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