狩り

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「武彦!もう辞めとけよ!」 気付くと目の前にはまた血まみれの男が数人ぶっ倒れていた。 「殺すぞ!!」 「これっぽっちじゃ足りないよ~!」 そう言って一夫と高史はこいつらの財布の中から札を抜き出していた。 「それじゃ、明日、ちゃんと持ってきてね~!もし、持って来なかったら武ちゃんに殺されちゃうよ~。ぎゃははは!」 高史の笑い声が響いた。 今日は満月だ。 どうりでいつも以上に血が騒ぐ。 血まみれになった両腕。 拳の痛みなんてとうの昔に感じなくなっている。 相手の痛みなんて感じた事もない。 感じる必要なんてどこにもない。 ただひたすら殴る。 そこにある何かを確かめるように。 ただひたすら殴る。 まるで何かに怯えるように。 夜のネオンが力をくれる。 満たされる事のない欲望。 飯を食うのと同じように… 人を喰う。 暴力こそが俺の中に生きる唯一の正義。
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