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満月の夜からどれだけたっただろう。
俺達は狂った悪魔のように街中を汚染していった。
「相変わらずやなぁ。よう頑張るわ!」
俺は胸ぐらを掴んだまま振り返った。
そこには派手なスーツに身を包み、両腕にはいかにも遊び人風の派手な女を連れた男がいた。
歳は三十歳くらいで、いかにもモテますと言っているような男。
知らねぇ顔だ。
「あーっ!!」
高史が叫んで気まずそうに目をそらした。
「おー!高史!久しぶりやん!どこ行っとったねん!まぁ、捜しとらんけどよぉ。」
「おっ…おぉ…」
高史の様子がおかしい。
「なんやおまえ、もしかしてなんも言ってないんか!?」
「………」
明らかに動揺している。
「高史の知り合いか?」
先に一夫が口を開いた。
「まっ…まぁ…知ってるっちゃ知ってる…」
俺は高史のはっきりしねぇ姿にイライラしてきた。
その時、高史がぽつりと言った。
「南龍組の若頭だ…」
俺と一夫は目を合わせた。
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