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「私とお前は対極だ。今、お前は泣き……私は笑う。そして……私の運命は始まり、お前の運命は終わる」
男は一言一言しっかりと呟いた。低く少女と自分に言い聞かせるように。
「このままでは……だがな」
と、口角を上げるだけの、皮肉にも見える笑みを見せた。
その表情を見ても少女は、何も反応を示さない。
「私とお前は対極。今、お前は泣き……私は笑う。そして……私の運命は始まり、お前の運命は終わる」
男は一言一言をしっかりと、はっきりと。低く少女と自分に言い聞かせるように。
「このままでは……だがな」
口角を上げるだけの、皮肉にも見える笑みを見せながら言葉を紡ぐ男を、少女は無反応で無表情に見つめたまま。
「運命が終焉を迎えるのは、全てを知ったとおごる時だ。死は全てだ」
男は、長剣を地面に突き刺した。地を突き刺す無粋な音にすら、少女のうつろな目は、かすかに動くのみで。
「ここにいる残骸は、死を迎える事を受け入れ……そうする事で、死を知ったとおごり……終焉を迎えた」
男は近くにあった人形を、足で転がす様に蹴った。人形は力無く、ゴロンと半回転して動きをとめる。表情など無いそれは、ただ転がるだけ、男はさほど興味もないのか少女から視線を反らそうとはしなかった。
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