-Ⅰ-

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それから少しずつ成長していくにつれ、樹は、体の成長に戸惑いながらも、かたくなにスカートなどを穿くコトはなく、そして、自分が『男』であるというコトを誰にも相談出来ずに、樹は高校生になった。 樹が高校2年の時に、浅尾先生は赴任してきた。 以前から、保健室によく行っていた樹が、初めて浅尾先生の元へ行った時、浅尾先生は、こう言った。 「…藤城さんって、女の子っぽくないね。 なんか…男っぽいっていうか、『自分は男だー!』って言ってるよーな気がする…。」 そう言われた時、樹は初めて自分から、自分の性の悩みを他人に話そうと思った。 この人なら、自分の事を理解してくれるんじゃないか、わかってくれるんじゃないかという感覚を、浅尾先生になにか感じるものがあったからだ。 案の定、浅尾先生は樹の話をよく聞いてくれ、しばらくして樹の事を『性同一性障害』ではないか、と言ってくれた。 それから浅尾先生は、樹にとって唯一の良き理解者となったのである。
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