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薫の家族は四人家族だ。ごく普通のどこにでもある家庭だが、一つだけ違うのは、母親が薫の弟を溺愛しているという事だ。母親であれば、娘よりも、息子の方が可愛いというのはあたり前なのかもしれない。しかし、薫の母の息子への執着は激しく、薫に対しては、親子というより赤の他人に近かった。弟が生まれてから、母は薫にずっと背を向けたままだった。 「りょうちゃん今回すごく頑張ったのね。70点もとれるなんて!ママすごい自慢の息子だわ」 「りょうちゃん、運動会の駆けっこで、すごく早かったのよ」 「りょうちゃんの大好きなプリン買ってきたわよ。」 別に薫は弟が憎いわけではない。ただ薫は100点をとっても母に誉められた事はないし、母親は薫の為に運動会に来てくれた事もない。薫の好きなものを買ってきてくれた事もなかった。何もかも、未完成な弟。何もしなくても、すべて手にいれている。たくさんの笑顔と沢山の愛情・・・。
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