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揺ら揺ら揺られて、流されて。
車で揺られ、上機嫌な校長先生とやらの鼻歌を聞き流しつつ、数十分。
「はい、とーちゃく」
なんとも気の抜けた校長のアナウンスと共に車を降りる
着いた場所は軽食屋と喫茶店を合わせたような店。
【トラットリア:三日月の止まり木】
三日月に黒い鳥が止まってる絵が書かれた看板、
その看板にはそう書いてある。
「まあ積もる話は中でしましょ」
カランコロンとベルの音を立てながら中に入っていく校長
蒼髪の子と担任もそれに続く。
「おはっよー!」
「只今準備中で…」
「はぁい、連れて来たよ。あのじっさまが言ってた子」
「…なんだ龍那か」
「なんだって…言ってたじゃない、今日だって」
「あんたにしては来るの早いわね、珍しいから思わず反応したじゃない」
「…わたしって何時もそんなに遅い?」
「常々寝坊してんじゃん、あんた」
「…ま、まあ大事な時は遅刻してませんから。うん」
「そこはまあ、認めてあげるけどね」
声をかけた校長に対して、妙齢の女性が応対をする。
友人かそれ以上の親しみを持って。
「…もうすぐ準備も一段落するからそこにかけて待ってて」
女性は入り口で呆気にとられてる蒼髪の子と、
何時も通りだなとのんびりしていた担任に眼をくばり
4人用のテーブルに誘導する、それに従い席へ座る3人
「もしかして」
「そ、ここで働きなさい」
「・・・」
ここに来て薄々感づいていた事を言う蒼髪の子
それに同意する校長
「…ふぅ」
風に流されて止まり木に止まった鳥のように、
とりあえず今は何も考えないことにした。
風はまだ止んでいる、春の日差しが差し込む窓辺の席で。
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