13人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
問いかけられた、蒼髪の子
考える、自分で良いのかと
考える、こんな人間が働いて良いのかと
考える、考える、考える
思案を続ける蒼髪の子に女性は言う
「…何ならしばらくお試しでやってみたら?その方が今ここで考えるより前向き だと思うわよ?」
「…けど」
「ふふ、不安なのね。最初はみんなそうよ、でも一歩踏み出してやってみなくちゃ結論なんて早々出ないわよ。これ人生の先輩からのアドバイス」
「さすがにいい事言うねぇ、姉さんは」
「あんたはには負けるわ」
「それほどでも!」
「皮肉よ」
「あ、そうですか…」
「相変わらずだなあんたら…」
大人たちが雑談を始める中
蒼髪の子は一様の答えを出す
半分の諦めと、半分の何かで
「じゃあ、試しにやってみる、かな」
「…それでいい?自分は納得した?」
女性は優しく聞いてくる
自身の事を考えてくれてるやさしさにあふれる言葉に
心の中で自身に向けなくていいのにと嘆息しながら
「解らないけど、納得するためにも、かな」
「うん、それでいいと思うわよ、何事もチャレンジ!」
「あーこれであのじっさまに小言言われないーありがとー■■ちゃん」
「…っ苗字で呼んでください、よ」
本当に不意打ちだった
聴きたくないのだその言葉だけは
認めたくないから、逃げたいから、許せないから
自分自身を保つためにも
「…うん、解った。ごめんね慈音ちゃん」
以外といえば以外だった
そんな事言うなよと言いかねない人物だと思っていたから
「さて」
今までのんびりといつの間にか持ってきてたコーヒーを飲みつつ先生は言う
「話も終わったし、お昼時になったしここで飯食わしてもらうかぁ」
「それいいね、さんせー」
「だろうと思ったよ、待ってな。いつものでいいね?」
「おまかせした!」
「おなじく」
そういって女性は席を立ち奥の方に歩いていく
しかしノリの軽い大人たちである
蒼髪の子は思う
もしかしたら自分のためにそうしてくれてるのではないかと
もしそうだったら?
たぶん自分を許せないだろう、だから考えないようにした
だから自分に嘘をついた
嬉しいなんて今の自分は思ってはいけないから
止まり木の鳥は何を思って羽を休めるのだろう
そう思いながら嘘をついた
自分自身に
最初のコメントを投稿しよう!