3月 弥生の頃に

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「おーい、おっさーん」 少年、いや青年に変わろうとしている声か。 家の外から聞こえる。 「ん、来たみたいだな」 老人が外へ出る。 それの後を追い、外へ出る。 そこにはトラックの助手席窓から顔を出し、老人を呼びつける青年の姿。 若さを感じる少し焼けた肌。 「この家で間違いないか?」 「ああ、ここだよ。あの子の言う通りにしてやってくれ」 「ん、ああ、了解」 こちらを伺いながら老人の指示に了解を取る、青年。 その様子を冷ややかに見る、あの子の姿。 「それでは、わしは仕事があるんでな。しっかりやれよ、坊主」 「へいへい、バイト代が出るんなら喜んでやりますよ~」 「もう少し言葉遣いを…まあ、いまさらだなお前には。…ではな」 そう言って老人はどこかへと歩いて行った。 そんな春の昼頃、いまだ雪解けは遠い冷たい視線のあの子。
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