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「おーい、おっさーん」
少年、いや青年に変わろうとしている声か。
家の外から聞こえる。
「ん、来たみたいだな」
老人が外へ出る。
それの後を追い、外へ出る。
そこにはトラックの助手席窓から顔を出し、老人を呼びつける青年の姿。
若さを感じる少し焼けた肌。
「この家で間違いないか?」
「ああ、ここだよ。あの子の言う通りにしてやってくれ」
「ん、ああ、了解」
こちらを伺いながら老人の指示に了解を取る、青年。
その様子を冷ややかに見る、あの子の姿。
「それでは、わしは仕事があるんでな。しっかりやれよ、坊主」
「へいへい、バイト代が出るんなら喜んでやりますよ~」
「もう少し言葉遣いを…まあ、いまさらだなお前には。…ではな」
そう言って老人はどこかへと歩いて行った。
そんな春の昼頃、いまだ雪解けは遠い冷たい視線のあの子。
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