止まり木

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止まり木

貴女は自由に飛び回る   僕から飛びだったあの日から…     でも空も自由の裏に厳しさがある     いつまでも太陽は照らしてくれない   強風に吹かれたり   雨が降ったりする時もある    それぐらいなら自由奔放な貴女は空を飛ぶ   たまに僕の上を自由に飛ぶ  まるで僕が見えていないように     でも僕はココにいるよ   ずっとずっとココにいるよ     貴女はその事が分かってるのかな…   嵐の夜になると 貴女はどこからともなくやって来る   傷付いた身体を休めるために僕の下に…     僕は精一杯貴女を護るよ   貴女の身体が癒えるまで     でもね最近は変なんだ   貴女が癒えて飛び立つ度に僕の葉が散っていくんだ…    そんな僕に気付きもせず貴女は休みに来るね   貴女を護りたいのに…   護れなくなっていく…     貴女が僕から飛び立つ度に根が腐っていく…   もう僕は貴女を護る事も出来なくなるの…     イヤだよ     貴女を護ってる時だけ貴女と入れるから   貴女がいつも一緒じゃなくて良いんだ     ただ一時だけでも一緒にいたいんだ       でも…     疲れちゃったな…     貴女を護れないのはイヤだけど そんな気力ないや…     あっ…     分かった… 僕はホントはいつも貴女と居たかったんだ…   ココから倒れかけた時にようやく気付いたよ   晴れの日も 雨の日も 風が強い日も 嵐の日も     僕は護りたかった…   でも貴女の手で涸れていたんだ   貴女を護る度に体を傷付け  貴女を癒す度に心が苦しみ  貴女が飛び立つ度に心が涸れていった     ゴメンね…   僕はもう貴女の止まり木になってあげれないみたいだよ…       倒れた僕はもうココにいないよ…   その時は気付いてくれるかな…   それとも またどこかに新しい止まり木を見付けるのかな…       せめて貴女の心のどこかに安心出来たココがあった事を忘れないで下さい…
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