『いのち』

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懐かしい風のにおい 君との想い出が蘇る いつも君は一生懸命だったよね 楽しむのも遊ぶのもそして生きることにも   君はベッドの上でいつも笑顔を見せてくれたよね   『わたし、絶対に元気になる』 君の口癖になってた言葉だったね その度俺は 『お前は絶対に元気になるさ』 って励ましてたね     【余命半年】 これを知ってたのは俺と君の両親だけだった   君には最後まで笑顔でいてほしかったから     ある日 『わたし、死んじゃうの?』 って君は聞いてきた 俺は 『お前は死なないよ』 とっさに出た言葉だった…   君はそれを聞くと、何かを悟ったのか 『ねぇ、今までわたしのそばにいてくれてありがとうね わたしはあなたに出逢えて幸せだったよ 本当にありがとう』 君は精一杯の笑顔で俺に言った 俺は涙を流しながら 『俺もお前に出逢えてよかったよ ありがとうな』 その言葉を聞いた君は涙を流しながらゆっくりと瞳を閉じていった     あの悲しみから数十年   今日の風のにおいはあの日のにおいに似てる 君は生まれ変わったのかなぁ… そう考えながら俺は深く永い眠りについた...
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