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母親が立ち上がり、手を差し出して帰宅を促すと、素直に手を繋ぎ、今度は男の子が先導するように出口へと向かって行った。
ほのぼのとして二人の後ろ姿を眺めながら、自分の特異な状況に悲観していると、僅かな違和感を感じた。
「デジャブ?」
時間の連続性に何の変化も感じられなかったが、記憶の深遠にある光景と重なったのか、奇妙な懐かしさが突き抜けた。
俺もあの子と同じ歳の頃、聞き分けが良く、怒られた覚えが無かった。さすがに自我が芽生えるかどうかの幼さの頃の思い出は皆無であるが、その事だけは解っているし両親によく聞かされてもいる。
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