果ての無い階段、上る程に沈む太陽

4/6
前へ
/19ページ
次へ
中年男性。携帯を見ながら歩いてる若い女性。鞄の中身をしきりに確認している女の子…そして目線が駅舎のやや上に向いてしまってる俺… 日は既に暮れ、星がまばらに瞬き、端っこには申し訳なさそうに満月が顔を覗かせているが、今、圧倒的に空を支配しているのは、暗黒を背にしたあの蒼さだ。 この街周辺の夜空の不気味さは今に始まった事ではなかった。あの工場が稼動して間もなくからであったろうか。 何の事もない日常に普通でない自分が紛れて、共に同じ方向へ歩いて行くのがなんとも滑稽に思える。 赤信号で同時に止まり、青になると同時に歩きだす。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加