雲一つ無い夏の空の蒼さ

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男の子を連れて散歩してるのが見えた。 母親は男の子の数歩前を行きながらも、男の子が視界の外に出ないように目配せしてゆったり歩いていた。男の子は母親の優しい眼差しなどお構いなしに、気の向くまま、右に左にヨタヨタし、何か興味を示すものを地面に見付けたようで、急にしゃがみ込んで、小さな手で何かを指差してジッと見つめ出した。 「ありさんだね~ちっちゃいね~」 直ぐ我が子に近寄り、同じようにしゃがんで優しく話し掛ける声が辛うじて聞こえる。男の子は理解したのか、2度頷いた。 思わず頬が緩む光景だ。 「さぁ、もうお家に帰らないと」
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