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凛とした声が、少女の後ろから聞こえた。
自然とその声の主を見る。
そこにいたのは、小さな少女だった。
薄い紫色の髪を、上部分だけ二つに縛り、首元が覆われた黒いロングワンピースを着ている。裾には大きくスリットが幾つか入り、そこから紫のレースが見える。
靴は黒いブーツを履いており、胸元には金と赤のリボンで装飾された紫水晶のブローチがついている。
「…女の子…?」
少女の言葉に、小さな彼女はむっと顔をしかめた。
「…貴女が想像してるのは人間の少女だろうけど、生憎と私は人形だよ。」
「は…人形? 私の知っている人形は動いたり話したりしないわ。」
「でも事実私は動いている。認める事だね、現状を。」
人形の少女が言う言葉に、少女は戸惑った。
だが、確かに目の前で動いたり話したりしているのだ。 少女はありのままに受け入れる事にした。
少女が黙認したと察したのか、人形はうっすら微笑んだ。
「…それでいい。賢いね。 さて。本題に入らせてもらうよ。」
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