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女性は頬を赤く染めたままで、接客を続ける。目はじろじろとボクを見ている。
「御一泊でよろしいでしょうか?」
「うん、一泊。」
「はい、夜間御一泊だとお一人様1500G頂戴いたしております。よろしいですか」
「これ」ボクは何の悪びれもなくさっき奪ったお金をフロントのテーブルの上へと置く。
「ありがとうございます。お部屋は2階の206号室になります。チェックアウトの際はこちら、お渡しする鍵をフロントまでお持ちください。」
女性は機械的な挨拶を緊張した赴きで言い終え、鍵を渡してくれた。
「どーも」と言って笑顔を向けると、彼女は「は、はい」と固い答を返して来る。
部屋に入ってすぐ鏡が目に映った。一瞬、ボクの背中に小さな影が映ったように見え、後ろを振り返る。だが何もいない。気配も感じなかったし、ただの気のせいのようだった。
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