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「不必要な忠告だよ。ボクもヴァンパイアだ」
ボクがそう応えると、彼は笑った。
「何の冗談だ。ヴァンパイアはもっと、ほら、こう、汚い格好をしてる。奴等は年中同じ格好をしているし、風呂にも入らないから臭いしな。にぃちゃんみたいに綺麗な格好してねーよ」
「まぁ」とボクは相槌を打つ。確かに奴等は、臭いし、汚い。ボクもヴァンパイアだけど、一緒にはされたくないとも思う。
「恐ろしいよな。しかし、ヴァンパイアを信じない地域もあるってんだから、すごいもんだ。こんなにも奴等に満ちているのに。他に怪物もいるが、奴等は特に多い。退治屋にも頑張ってもらわないと。あいつらが増えたのはあの戦争後だってな。大分昔の話だけどな」
男は訊きもしないのにペラペラと口を開く。よくしゃべる人間だな。
人間も色々だ。
いつまで話を続けるつもりなのだろう。これ以上ここにいるつもりもないので、部屋に戻ることにした。
まだ話したりなそうにする彼に「じゃボクは戻るから」とだけ言い残し、部屋へと戻る。
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