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「泣かないで、テトラ。そんなに泣かないで。」彼女はそう言ってボクに触れる。
泣いている?ボクが?
自分の頬に手を触れて見ると、確かにボクは泣いている。
「大丈夫。私がいるから。ずっとそばにいる。だから自分を恐れないで」彼女はそう言って、優しく微笑んでくれた。
不安な気持ちが、和らぐ。
だけどどうしてだろう。涙が止まらない。
「人間も同じ。沢山の命を奪って、それを食べて生きているの。人が1人生きていくのに、数えきれない命を奪わなくちゃいけない。あなたも、そうしただけのこと」
「だけど、人は人を殺さないよ」
「そうだね。でも君はヴァンパイアだもの。」
「………………」
「人殺しは嫌い。けど私はあなたを許すよ。大丈夫。あなたがどんな気持ちでいるか分かっているから」
彼女は儚げな笑みを浮かべ、ボクを励ましてくれる。
ボクの傷口を癒すように、不安を取り除くように、ボクに構った。
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