ヴァンパイアと魔法

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とらわれた人間上空でその血を食にされて死んでいった。その死体は乱暴に放り捨てられ、柔らかく重たいものが落ちる音を立てて地面に叩きつけられる。衝撃で皮膚が避けてそこから残ったわずかな血液が外へと流れ出した。  ヴァンパイアは「キキ」と笑い、次の獲物を狙ってまた地上へと降下する。人間たちは対抗しようと銃を持ってヴァンパイアに向けて銃弾を放ったが、多くは外れて空を撃った。ようやく一発がヴァンパイアの翼をかすり、ヴァンパイアは痛みでカクンと空中でバランスを崩したが直ぐにまた立ち直って人間たちへと向かう。ヴァンパイアは頭が悪いから、目の前にある誘惑に負けてすぐに痛みを 忘れる。どう立ち回ればうまくより簡単に殺せるかなんて考えもしない。  ヴァンパイアがまた人間の逃げる群れに突進していき、その場で人間の首筋にしゃぶりついた。結構体格のいい人間で、筋肉質で見た目的には全然美味しそうではない。なぜあえてその人間に食いついたのかボクに理解しがたいものだった。  ーーけれどそれもまたヴァンパイアか。  ヴァンパイアは理性が効かない。目の前にある欲求を我慢できない。物事を考えることに努力しない。今まで奴らとろくに会話をしたことがないのはそのせいだ。  ただ何もせずにそこにつったってヴァンパイアを見ているボクに、「突っ立ってないで!」と怒鳴る声があった。振り返ると、人間の気配のない女性がいた。髪の毛をお団子にして2つに結わえた髪の毛と、レクノアの民族衣装がよく似合う美しい女性だった。  そうだ、食べるならこういう綺麗な人間の方がいいに決まっている。  
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