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それにしても幸運だ。この間はご馳走にありつけなかったけど、今日またこんな美味しそうな人間に出会えるだなんて。この間の少女には及ばないけど、味が気になるような美女だった。そして彼女もこの間の少女と同様に人間としての気配をもたない。彼女はボクに怒鳴ったあと、そのまま突っ走って男を襲うヴァンパイアのもとへと走った。
男は必死にヴァンパイアを引き離そうとあがいていた。おそらくこの男もこの国独特の体術を使えるようだ。ドス、ドス、ときれのある手刀がヴァンパイアの首筋に入る。ヴァンパイアもこれには参った様子で、キィキィと声をあげて首を振った。しかしそれでも手を放さないところは意地汚さが滲み出ていると思う。人間相手に、随分と手こずっている。
女は自らヴァンパイアの元へと走って行く。ヴァンパイアは自分に向かってくるご馳走をみるや否や、食べ残した人間を捨て去った。中途半端に食い捨てられた男は、脳内に必要な血液も送られずにいるせいでビクビクと激しく痙攣している。
ヴァンパイアは狙いを女に変えた。血で汚らしく汚した口をパカッと大きく開けて黄色い鋭い牙を剥き出しにする。
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