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ボクはチッと舌打ちをする。
「それはボクの獲物だ」
女はどういうわけか勇敢にもヴァンパイアに挑んでいった。あの拳法で、ヴァンパイアの顔面に蹴りを食らわせる。食われた男よりも拳法を極めていたらしく、彼女の蹴りでヴァンパイアは地面に沈んだ。彼女は拳法ならでわの独特なポーズをきめ、ヴァンパイアを睨みつける。ヴァンパイアはすぐさま立ち上がって、また女を襲おうとした。
彼女はなにやらぶつくさと口を動かしていた。なんと言っているのかはわからないが、その場の空気がなにやら変わったことだけは分かった。そんなことしている間にも、ヴァンパイアの赤く光る目は彼女にしっかりと狙いを定め、今にも飛びかかろうとしている。
「力には過信しない方が身のためだ」
ボクはヴァンパイアの顔面に靴のそこを食い込ませた。女は、何が起きたのかわからないような顔つきをして、ぽかんと口を空けている。誰かが混乱のさなかで落としていったのであろうペンが近くに落ちていて、それを拾ってヴァンパイアの胸の上に当てた。
「お前、なぜここに」ヴァンパイアはボクの顔を見て言う。
ボクは彼に笑いかけ、「誰だっけ?気安く話しかけないでよ」と応える。
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