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「邪魔するな!」
彼はなぜボクに殴られたのかも気にしない様子でヨダレを垂らしながらまた女をその目に捉え爪を立てる。彼がその場を動こうとした直後に、ボクは彼の胸を押し当てたペンで貫いた。彼はギャアギャアカラスのように鳴きながら「なんで」とようやく自分が襲われていたことに気がついたように言う。
「気に入らないから、かな」ボクはペンで穴を開けた彼の胸から吹き出すように溢れてくる血を見て、なんでヴァンパイアの血は美味しくなさそうなんだろうなんて考えながら興味のない彼の問いに返答をする。
ヴァンパイアはそのまま息絶えた。
ボクが興味のある女の方へと振り返ると、彼女は驚いた表情を変えずに「あの、あなたは…」とおどおどと質問を投げかけてきた。
「ボクはテトラ。君は?」ボクは笑顔を彼女へと向ける。と、彼女も警戒を解いたかのように安堵の笑を浮かべ、「…シルフ」と答えた。
「シルフ?…妖精の名と一緒か。素敵な名だね」
「…ありがとう」
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