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あれはそう、14歳の夏…中学の仲間と一緒に体験入学に行ったことから全てが始まったんだろう。
まだ世間をほとんど知らない僕が訪れたのは同県では田舎な地方。
広大な敷地にグランドや校舎・テニスコート・野球場、学生はと言えば同年代からちょっと大人に見える20歳くらいの人達。そこらの普通高校とは比べようもない規模の学校…そう、高専だった。
その頃の僕は塾には行っていたが目標も定まらず、受験がこの先の人生を決めるだなんてこれっぽっちも思ってはいなかった。
ただ機械だのロボコンだの男なら大体が興味を持つであろうジャンルだったことくらいしか高専に興味を持つ理由が無かった。
一日あれやこれや実験に参加したり学食を食べたり、視野の狭い中学生には強烈なインパクトだった。
受験日が公立高校とずれていた関係もあって気楽な気持ちで受けてみることにした。
レベルは実力以上…まず受かる事はないだろうと思ったが、公立の試験も迫っていたのでがむしゃらだった。
試験当日、会場は人でごった返していた。当たり前のことだ…全校生徒1000人希望定員5学科200人県内のあらゆる地区からあるいは県外からも…その時悟った。
『クルベキトコロヲマチガエタ…』
時既に遅し…試験開始。
その頃猛勉強していた僕はクラスで中盤からかなり上の方まで上がってきていた。
それでも自信は全く無かった。気負いもあったし何より高専に行く実感が沸かなかったのだ。
試験後…友達とテストの話をしながら帰宅。次は公立だから気合い入れて勉強するぞ!そんな事さえ考えていた。 ……それから数日……
公立の試験を間近に控えてクラスの空気は張り詰めていた。
そんな中、担任の口から 『高専の結果が出たので受けた生徒は順番に職員室に来るように…』
僕の学年で受けたのは5人…全員受かってれば一人ずつ呼ぶ必要なんて無い!
…ダレカオチタ…
誰しもがそう思っただろう。僕の順番は最後から2番目。担任は満面の笑みを浮かべ、『おめでとう』と言ってくれた。
そう、この瞬間から全ての歯車が一斉に動き出したのだ。音もたてず、ひっそりと…
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