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「アイツ、地元民なんだよね」
「はぁ…」
「で、アイツの姉さんも地元に居るんだよね」
「…」
「そしてアイツの姉さんはあくまで『見える』だけであって『祓う』とかは出来ないのね」
何となく、先輩たちが嫌がった訳も分かってきた。それは、つまり――
「アイツの話聞く度、この街で知ってる『霊の出現スポット』が増えていく訳よ。見えないからって気分の良いもんじゃないじゃん」
僕は聞いたことを後悔した。心霊スポットっていうものは遠くにあるからわざわざ見に行くものだ。自分の住んでいる街中の、しかも普通の店にそんなものがあるなんてあんまり知りたくない。僕はそれから無言で飯を食ったが、勿論上手い訳無かった。
店を出た所で、よせばいいのに僕は質問を重ねた。
「あの、アネさんのお姉さんが勤めている雑貨屋って…」
「…オマエもチャレンジャーだね。其処、其処のデパートの中」
先輩が指差したのは、駅隣のビルだった。この辺りじゃ一番大きなデパートだ。当然、僕も何度も買い物したことがある。文字通り背中が寒くなって、もう二度とアネさんの怪談は聞くまいと心に決めた。
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