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ふと、ブラインドの隙間から見える外の様子に目をやると、既に外の街は日が暮れ、闇に包まれていた。夢中でやっていたせいか、周囲の様子にも気付かなかったらしい。既に同僚達は仕事を終え、いそいそと帰りの支度をしていた。
はっとして悠紀は自分の机へと視線を移すと、机上にはしっかりと作られた書類が並んでいる。どうやら悠紀も時間通りに仕事を終えることができていたようだ。
一息ついて体を伸ばし、自らも家に持ち帰る荷物を鞄に詰め始めた。
(…そういえば、遠藤部長…)
悠紀は遠藤に連絡先を伝えそびれていたことを思い出し、慌てて立ち上がる。
遠藤の机を見た限りでは彼はまだ社内にはいるようで、悠紀はほっと胸を撫で下ろした。
しかし、連絡のしようがないので、ここで待つよりほかはなかった。腕時計を確認すると、午後八時過ぎをさしていた。時間的には今のところ全く問題はない。悠紀は再び椅子に腰掛け、夢中で仕事をする中で飲み損ね、すっかり冷たくなったコーヒーを口にしながら、とりあえず遠藤が戻るのを待つことにした。
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