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「ちょっと泣かないでよ!!」
娘に怒鳴る。今思えば最低だ。ただの八つ当たりなのだから。
しかも今に始まった事じゃないから尚質が悪い。
リビングから部屋へ移動する。
その時は、誰の声も聞きたく無かった。自分の呼吸音さえ。
だからコンポにイヤホンを付け大音量で(コンポのボリューム表示は32だった)音を遮断した。
「粉雪」を永遠とリピートで。
それでも、苛々は収まらないし段々と虚無感が生まれてくる。
僕なにしてんの?
何で独りでこんなことしてんの?
てかさムカつくんだよね
意味わかんねぇよ。僕が何とも思ってないとか本気で思ってんの?
考え出したらキリが無かった。どんどん蟠りが膨らんでいき、何かが壊れた
思い立ったようにコンポの電源を落とし身支度を始める。
着替えて、カバンに財布とハサミとカッターと携帯と充電器とハンカチ入れて。
この時はまだ、どこに行こうとか考えて無かった。ただ、この場から一刻も早く居なくなりたかった。
ただ、もう何もかもが嫌になった。
全部を捨てて死にたかった。
蒼空へ飛びたかった。
空を飛ぶ為の翼が欲しかった。
カバン中を確認し、家を出る。その際に妹にすぐに戻るからとだけ伝えて単身外に飛び出した。
空は青空だった
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