2度目の悲劇

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両目を開いた瞬間、時は急速に動き出しまるで身を潜め今が頃合いだと計ったかのように騒ぎ立て、今度は今の静寂が嘘だったとのかと思わせる程に強く吹きつける風、それに身を任せ揺れ動く雑草が音を立て混ざり合う。 そして風が吹き荒れると同時に修二の両腕が変化を見せる。 それは始めは欝すらと、そして次第に濃い色へと変化して行く。 (余裕ぶっこいてられるのも今の内だ!) (こいつ……) 両腕が輝き出すにつれ風は荒れ狂い、体ごと持って行かれそうな程の強さにまで達した風が修二の茶色い髪、ブラッドの真っ赤な髪を掻き乱して行く。 ついには力強く握った拳から腕に賭けて目が眩んでしまうよな、それでいて目を奪われてしまうくらいの美しい黄金色の輝きを放つレベルまでに達する。 ここまでの時間、僅か三十秒程度。 (リスクは高い!だがやるしかねぇ!こいつで!俺の拳で!) (何だ!?この妙な感覚は!?俺の体……いや俺の血がざわついてやがる!) 突然自分の首を手で押さえ出したブラッドのその顔からは既に笑みは消え、先程までの余裕は微塵も感じられなかった。 そして修二が動き出す。 黄金に輝くその両腕の片方を頭上に掲げると、闇を切り裂くかのように光が全てを照らしだし辺りを白く染めて行く。 とても眩しく、目も開けられない程に。 「行くぜダブルインパクト!ぶち込んでやる!」
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