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その男は、黒のロングコートに大きな銃と腰には銀色に輝く剣、そして髪は茶色で短め、すこし前髪を立てている。
30代前半といったところか。
決して体が大きい訳では無く、一見細身にも見えるのだが、良く見るとその体はしっかりとした筋肉で構成されている。
「どうだ?聞くだろ?銀の玉だからな」
今打ち抜いたばかりの、胸元に穴を開け苦痛に顔を歪めるヴァンパイアをギラついた2つの目で見ながら、勝ち誇ったように笑みを浮かべる茶髪の男。
その鋭い瞳には、ヴァンパイアを仕留めた事による勝利の喜びではなくもっと別の感情、怒り、増悪、殺意のような物が滲み出ていた。
少年はそれを見た瞬間、背筋に軽い悪寒が走り、この男にすら僅かながらも恐怖を覚えてしまう。
ヴァンパイアの弱点は銀だと言われており、男は銀で作られた銃弾を使用し撃ち抜いたのだろう。
そして恐らく……いや、確実にその腰に輝く銀色の剣も、今使用した銀色の銃に銀の弾も、ヴァンパイアを始末する為の対ヴァンパイア用の代物。
「……き……貴様!」
振り向き、怒りをあらわにしながらその負傷した体で男に襲いかかろうとするヴァンパイアだが、体に穴が開くほどの致命傷でそれは難しく、案の定力尽きその場に崩れ落ちた。
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