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そして二人が町を離れてから少したった頃、先程の崩壊した街では修二に撃たれて死んだはずのヴァンパイアが起き上がり、ゆっくりと立ち上がろうとしていた。
「ふ、俺がこんな簡単に死ぬはずないだろ」
どこか冷めた態度で服についた誇りを払うヴァンパイアの胸は完全に塞がっており、それどころか血の跡もなく服すら破れていない。
まるでわざと死んだ演技をしていたかのようなセリフを吐き出すヴァンパイアだが、確かにあの時この男の胸には大きな穴が開き血が吹き出していた。
それなのに今は小さな穴すら開いておらず胸元は全て綺麗に治っており、撃たれる前の姿のまま平然とヴァンパイアはここに立っている。
一体どういう事なのか……
確かにヴァンパイアは自己再生能力を持っている。
その為、例え負傷したとしても時間が立てば傷は癒え回復し、その再生速度は人の物を遥かに上回るのだが……
それにしてもこの短時間で大きな穴の開いた胸元が完全に塞がるとは考えられない。
一体この男は……
「さぁ、これからどうなるか楽しみだな」
そう言いながら口元に気味の悪い笑みを浮かべるヴァンパイアの2つの目は、いつの間にか先程の黒からサファイアのような青へと変化していた。
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