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「出やがったか……」
それを見て、小さくつぶやく修二。
この世界にはヴァンパイア以外にも人間外の者が存在する。
魔族、妖魔、冥族、など何種か存在し、またそれらをおおざっぱにまとめて魔物やモンスターなどと呼び、凶暴で人間から敵視されている存在だ。
その草むらから姿を現した、二匹の魔物。
一見犬のように見えるが、大型犬よりさらに体が大きく、異常に長い牙を二本を生えている。
「グルルルルー」
(ちょっとからかってやるか)
2人の前に姿を現し、威嚇するかのように低く唸る魔物を見た後、牙へと視線を移した修二は怪しい笑みを浮かべていた。
一方の牙は、突然現れた魔物に恐怖し、固まってしまっている。
「ただの雑魚だな。ほら行ってこい!」
と、ここで突然、体がすくみ固まってしまっている牙に向かって、修二が首で行けと合図した。
「え!?」
一瞬、言っている意味が分からず、戸惑いながら修二を見る牙だが、徐々にその言葉の意味を理解する。
まさか自分がやらされるとは思ってもみなかったのだろう。
それ故、牙の頭の中は真っ白になり、軽い放心状態になってしまう。
だが、それは当然の事だ。
戦いの経験が全くない人間を、いきなり戦わせるなど普通ならありえない事。
しかも、まだ子供……死んで来いと言っているような物で、一体この男は脳どんな構造をしているのか全く理解できない。
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