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(嘘だろ?この人、まじで言ってんのか?しかも相手は2匹だぞ)
助けを求めるような目で修二を見つめる牙の心は今、無茶な事を言う修二に対しての不信感、そして不安と恐怖でいっぱだろう。
「何だ?ビビってんのか?そんなんじゃ、ヴァンパイアなんて到底無理だぞ」
そんな牙の気持ちを余所に、今だ笑みを浮かべたままの修二は、挑発するかのような言葉を牙にぶつけ、その言葉に牙は魔物へと視線を向ける。
「ほらよ!お前じゃ、まだ剣は無理だろ?」
そう言い、取り出した大きめなダガーナイフを牙へと差し出す修二。
(そうだ、俺はヴァンパイアに復讐するんだ。こんなんじゃヴァンパイアなんて殺せやしない。怖い……怖い……怖いけどでも!やらなくちゃ!)
震えながらもその両手でしっかりとナイフを握り、生唾を飲み込みながらまるで睨みつけるかのように2匹の魔物を見つめる牙。
「やってやる……やってやるさ!あぁぁぁぁ!」
「グガァァ!」
ヴァンパイアと言う言葉と思いが全身を硬直させていた恐怖を振り払ったのか、牙が覚悟を決め受け取ったナイフをかざして気合いを入れるかのように雄叫びを上げながら魔物に向かって走りだすと、それに反応した魔物も牙に向かって飛び出した。
かざしたナイフが光に反射し眩しく輝く。
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