全ての始まり

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街は悲惨な状態だった。 家やビルなど建物は崩壊し、所々で火の手も上がっており、生きている人は見当たらずそのかわりに死体がいくつも転がっていた。 街を赤く染めて行く燃え盛る炎。 立ち上る煙の臭いと、焼け焦げた臭い、そして血の臭いが街を覆い尽くすように充満してる。 いや、生存者はいた。 崩壊した家の影に隠れるように震えながらうずくまる少年が1人。 少年はひどく怯えており、それは恐らくここで何が起こったかを知っているからだろう。 仮に知らないとしても、この悲惨な光景を見れば誰だって怯えるに違いない。 (嫌だ!死にたくない!死にたくない!) 目を閉じると、あの時の悲惨な光景が蘇り恐怖で押しつぶされそうになるのか、震えはさらに増す。 (だれか助けて、誰か!) 顔を上げると、視界に入る揺らめく炎と破壊された建物が少年の恐怖心をさらに煽り、そしてその現実から逃げるようにもう一度目を閉じた。 その時……
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