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「よう!坊主!おまえこんな所で何してんだ?」
少年は突然声をかけられ、驚きのあまり体をビクッと震わせる。
一瞬体が硬直してしまうが、それでも恐る恐る顔を上げると、そこには見知らぬ男が立っていた。
「そんなにビビるなよ~」
少年の目の前に立ち、優しい笑み、柔らかな口調で話しかける男の穏やかな雰囲気に安心感さえ覚える。
だが、この男はいつのまに現れたのだろうか?
先程顔を上げた時にはいなかった。
少年は危険をすぐに察知できるように神経を張り巡らしており、そのため誰かがもし近づいてきたのなら足音や気配で気づくはずだ。
例え周りを警戒していなくても、誰かが近づいてくればわかるはず。
そして、気になる点はもう1つ。この悲惨な状態となった現場にいるにもかかわらず、その様子は平然としており、焦りや戸惑いのような物は男の表情からは1つも見受けらない。
この悲惨な事態に全く動じていない、むしろその事に関しては興味が無いかのような場違いな態度に加え、足音や気配さえも感じさせず男は突然姿を現わした。
そう、一瞬にして。
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