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だが修二の作戦も虚しく、剣を振り下ろした直後に鳴り響いたのは肉を切り裂く音では無く、金属が壁にぶつかったような甲高い音だった。
「ちっ!駄目か!?」
それでも直ぐさま頭を切り替え、素早くサイドへと回るとブラッドの視界が晴れない内に今度は横から剣を振り下ろし切りつける。
しかしこの斬撃も魔性壁によって塞がれ再び甲高い金属音が鳴り響くと、そのすぐ後に修二の目に飛び込んで来たのは多少薄れた煙りの先に欝すらと揺らめくブラッドの手の平だった。
「残念だったな」
ブラッドがそう静かに言葉を吐き出した直後、修二は突然大きく後ろに飛ばされその衝撃と突然の事に上手く受け身を取る事が出来ずに地面を転がる。
それでもすぐに態勢を立て直し起き上がると、悔しいそうに顔を歪ませながらも何とか打開策を見つけようと地面に片方の手の平をつけ、真下に押すようにして力を入れた。
するとその直後、ブラッドの足元で爆破が起こり振動と共に爆音を轟かせかせるが、その体にダメージを与える事が出来ない。
(これも駄目か……前後左右下、何処から攻撃しても無駄か……試していないのは真上からだが今の状況を見ると恐らく無駄だろう)
「無駄だ。魔性壁に死角はねぇよ」
煙りは徐々に薄れ視界もだいぶ良くなっていた為、ほくそ笑むブラッドの顔はしっかりと見えた。
ブラッドの言うように今の攻撃で魔性壁に死角は無いと言う事が明らかになると同時に、魔性壁をかい潜って攻撃を当てる事は不可能と言う現実にぶちあたり、この魔性壁をなんとかしない事にはダメージどころか傷一つ与えられずに勝ち目はないと言う事になる。
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