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(何処から攻撃しても無駄……あれをぶっ壊さねぇとダメか……仕方ねぇ、やってみるか)
そんな中何を思ったのか、修二は突然剣を放り投げ手放すと力強く拳を握った。
(武器を捨てた?諦めたか……いや、違うな。目は死んでいない)
自分の体に傷をつける事が出来ないと分かっている為、修二をもて遊ぶかのようにほくそ笑みながら今だ攻撃すらして来ないブラッドを、殺意のこもった目で睨みつける修二。
(あれは体に負担がかかりすぎる……だから出来るだけ使いたくはねぇ。魔性壁を破れるって言う保障もどこにもねぇし……でも今はそんな事言ってられねぇ!いつまでもニヤけてるその腐れっ面!歪ませてやる!)
修二は勝負を諦めたのか剣を投げ捨てた後、戦闘中であるにも関わらず突然瞳を閉じる。
(どうせやらなきゃやられるんだ!俺はあいつを殺す為にここまで来た!だったら一か八かに賭けてやる!)
(ふん、精神統一か何かか?何か企んでやがるな?まぁいい。何をしてくる気か知らねぇが、どうせお前らごときにはこの魔性壁は破れねぇ!来い!)
ブラッドの表情が一瞬鋭い物に変わるがまた直ぐに口元に笑みを浮かべ、そして修二が目を閉じてすぐ、今までの事が嘘だったかのように当たりは静まり返り風がピタっと止むと、その音、もちろん雑草が揺れ動く音すら聞こえなくなる。
時が止まったかのような気持ち悪い程の静寂。
その止まった時が再び動き出したのは、次に修二が閉じていた両目を開いた時だった。
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