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(く!目が!)
掲げた修二の腕から放たれた黄金の光に目が眩み、反射的にその光を遮るようにして自分の手の平を顔の前へと持って来たブラッドの顔は激しく歪んでいた。
普通の人間でさえそうなるのは当然の事で、ましてや日の光を苦手とするヴァンパイアにとっては平然としていられる方がおかしいだろう。
これが日の光では無いとしても、これだけの強い光は彼等に取って厄介な物。
そしてブラッドが光を手で遮り反射的に閉じた目を眩しそうにしながらも開けた時、その深紅の二つ目に飛び込んで来たのはすぐそこにいる修二の姿と、大きく振りかぶった腕。
「らぁぁぁ!」
驚愕に目を見開くブラッド。
ブラッドに向かって勢いに乗ったまま真っ直ぐ拳を突き出す修二。
黄金に輝く拳が魔性壁と接触。
接触した直後、さらに激しく発光。
体の芯まで響くような爆音と共に大気が振動。
その音が鳴り響いてすぐ、まるで壁にヒビ……いや、硝子にヒビが入った時と同じような音を奏でた。
(まさか!バカな!)
驚愕に目を見開くブラッドをよそに、すかさずもう片方の拳を真っ直ぐ突き出す修二。
そのブラッドの表情には、心なしか不安や焦りのような物までも浮かんでいるように見えた。
そして……
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