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「嫌だ!死にたくない!まだ死にたくない!」
少年はそう叫びながら、逃げるように必死で走る。
息を切らし、後ろを振り返える事無くただひたすら走った。
「っつ!」
だが、男からだいぶ離れたころ、少年は必死すぎるあまり足元に気を止めていなかった為、瓦礫につまずき転んでしまった。
崩壊した家の壁や柱、壊れた電柱、崩れ落ちた様々な物が地面を覆い尽くしている為非常に足場が悪い。
それでも歯を食い縛り、グッと痛みをこらえ、息を切らしながらもまた走り出そうとすぐに立ち上がる。
しかし、立ち上がり顔を上げた瞬間、少年は驚愕に目を見開き固まってしまった。
その理由はそう、先程の男が目の前に立っていからだ。
それは、あり得ない事。
必死で走り相当距離を離したにもかかわらず、男はまたもや一瞬にして目の前に現れたのだ。
「人の親切を無駄にしちゃいけねぇなぁ、罰があたるぜ」
そう言い、2つの目でしっかりと少年を捕らえながら再び不気味な笑みを浮かべる男。
「あ……あ……ああ……」
自分は殺されると少年はそう直感し、逃げたくても恐怖で体が動かなくなる。
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