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主人の話によるとこの村は海に面しており,この辺りでは一番漁業がさかんな村だと言う。
なるほど…。
どうりでさっきから酒を片手に騒いでる連中は,日に焼けてそして何より独特の臭いがするのか。
ロウはそう思いながらカウンターに金を置いた。
「飯上手かったよ。
2,3日ぶりくらいに食ったからよけいそう感じたのかもしんないけどな。」
ああそうかいと金を受け取った主人が言う。「そういやお前さんのその銀色の髪は珍しいよな。確かどっかの国の王様の髪もそんな感じの銀色だったよな。」
少し間を置いてから振り返りロウは口を開いた。
「おれ世間には疎いもんで…。
んじゃごちそうさん。」
右手を軽く上げてロウは店を出た。
「どっかの国の王様も…ね。」
独り事をつぶやいたロウの左手は,ジーンズのポケットの中で拳をつくっていた。
少し夜風に当たっていたロウはポケットから煙草を取り出し口に加えた。
月が出ていない黒い空を見上げマッチをする。
「さて,宿屋のおっさんの話の相手でもしてくるかな。」
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