76人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんだろ…
なにかあったのかな?」
広場にできている人だかりを見てサツキは足を止める。
人々の顔色を見る限りでは事件ではないらしい。
徐々に近づいて行くと何やら声が聞こえる。
歌声。
良く聞こえる場所まで来たがこれ以上は人の壁で前に進めない。
「もうっ。
ちょっと通してー。
…と,待てよ?」
ニヤっと良からぬ顔をしてサツキは人の壁をかき分けて行く。
サツキ・シェンナ。
職を持たない旅人。
…兼,シーフ。
いわゆる泥棒だ。
髪は栗色のショート。その上に茶色の帽子を被っている。
服はノースリーブ,ズボンは肩の紐を外したオーバーオール。
ボーイッシュな服装は動きやすい上に頑丈だ。
背は決して高くないが,その分身の軽さには自信があった。
ちなみに…
昨夜空き地で泣きべそをかいてふて寝した張本人である。
最初のコメントを投稿しよう!