∮愛らぶ勇∮

●日常●

まったく

この道場は設備が整ってない。

一番最悪なのは…

というか、ぶっちゃけ最悪なのはこの一つしかない。

更衣室が男女に分かれてないこと。

実際、この道場には、更衣中、男女を気にしないで着替える小学生が大半で、更衣室を分ける必要があまりない。

あとは中学生がほんの数人。

愛と勇は高校生。

この道場を通っている高校生と言ったら、愛と勇しかいない。

そんな私たちと、その他の中学生を父親が気にかけて、できたのが更衣室をちょうど半分に分ける、一枚のカーテン。

しかし、それを捲れば、すぐ見えるといった状態。

声丸聞こえで、ほぼ男女共用と変わりない状態である。

つまり、あまり意味がない。

愛『ねぇ、先に着替えて。』

勇「カーテンあるんだからいいじゃん」

愛『…覗くでしょ』

勇「もちっス」

こんな会話を、ほぼ毎日している。

愛『早く着替えてきてよ。あたし、あとから着替えるからぁ』

勇「一緒に着替えよう～♪」

愛『変態。』　

勇「これは普通の健康男子が日常的に考えることだっ」

威張ったように腰に手をあて胸を張る勇。

愛『つまりは変態野郎だ。早く着替えてこい。』

そんな勇を無理矢理、更衣室に押し込み、愛は外で待った。