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「たっくみぃ~!!今日はなぁんの日、フッフゥ~♪」
お昼の番組のメロディに合わせて、兄貴が踊りながらオレに近づいてきた。
今日……?今日って、なんかあったっけ?
「えっと……海の日?」
「たっ、拓海っ?!それはもうとっくの昔……いや最近か。とにかくっ!海の日はもう終わったんだ!」
え……海の日終わってたんだ。じゃあ……
「……あ!わかった!ウナギの日だろっ!?」
「……拓海……もしかしてお前は天然?くぅ~っっ!!萌へいっ!!」
えっ!?オレって天然だったの!?……なんて考える隙も与えず、兄貴は両腕を広げ、オレに飛びついてきた。
「うわっ!ちょっ、兄貴っ!なにすん……!」
「今日は……そんな可愛い可愛い拓海が生まれてきてくれた特別な日じゃないか」
「え……?」
ってことは……
「オレの……誕生日ってこと?」
「そうだよ」
耳元で囁く兄貴の声が、なんだか少しくすぐったくて、
すごく、こそばゆい感じがした。
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