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「……ごめんっ!」
引き離すように体を遠ざけると、僕は教室を飛び出した。
ああ…またルール違反。
帰る時はそっと立ち去るはずだったのに。
火照ったままの体で、昇降口へ掛け降りると…僕は立ち止まる。
……胸が苦しい。
うまく息が出来ない。
僕は乱れた呼吸で泪目になりながら、後ろを振り替える。
彼女は追い掛けて来なかった。
そして、僕もまた。
引き返す勇気が無かった。
ぐちゃぐちゃになった頭のまま、上履きを脱いで、乱暴にしまい込む。
外へ出た時、淡い霧雨に包まれて、僕は顔を上げた。
なんでだろう。
窓から彼女が見ている気がしたんだ。もちろん、それは僕の空想に過ぎず、彼女の姿は見当たらなかったけれど。
そして、終わったと思った。
この時は、もう今までの関係ではいられないと、感じていた。
そんな事、望んでいなかったはずなのに。
僕は彼女の事を、どう思っていたのだろう?
わからない……
本当に、わからないんだ。
不確かな関係、曖昧な感情。
僕は指先で、そっと自分の唇に触れた。
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