思い出は胸の中

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 教室の片隅。誰もいなくなった放課後に、空を見上げるのが大好きだった。  喧騒が消え、静寂に包まれた空間は、ゆったりとした時の流れに変わる気がする。  青い空が朱に交わりだすその色は、校庭の先に見える海ですら染め上げていく。それを見る為だけに僕はしばしば用も無く、教室で時間を潰していた。 「まぁた、いる…今日はどんな理由を用意したのかな?」 背後から声をかけられ。僕は振り向かずに、笑った。
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